落語から見る地図を提案!
皆さん、こんにちは。
全教図です。
今日は1月16日。藪入りだそうです。
藪入りとは、大店などに住み込みで奉公している子ども(に限らないのかもしれませんが)などが、実家に帰るのを許される日だそうです。
以前にも紹介した精選版日本国語大辞典によれば、「草深い田舎に帰る意から」という注というか前書きとともに、上に書いたような意味が記されています。
厳密には正月と盆(七月)の16日と2つあるそうです。
今は丁稚奉公というのもほとんど見られなくなりました。そのためか、藪入りと言われてもピンとこない方も多いのではないでしょうか。私もそうです。
いつの頃からあるのか、までは書かれていないのですが、とりあえず、日本の商家の伝統ということにしますと、やっぱり後世に伝えていった方がいいのかなぁ、とぼんやりと思ったりもします。
とはいえ、この藪入り。落語にもあって、著名な方々が演じています。
話の流れとしましては、
藪入りで子どもが帰って来る日。待ちきれない子どもの父親は、あれを食べさせたい、これを食べさせたいと独りごちた後、(ちょっとウィキペディアを引用します)「今日は湯に行かせたら、本所、浅草に連れて行きたい。ついでに品川で海を見せて、羽田の穴守様にお詣(まい)りして、川崎の大師様に寄って、横浜、横須賀、江の島、鎌倉。ついでに名古屋のシャチホコを見せて、伊勢の大神宮様にお参りしたい。そこから京、大阪を回って、讃岐の金比羅様を」と、どんどん遠くまで思いをはせていきます。そこに子どもが帰ってきて・・・
というお話。残りは検索をするか本に当たっていただくとして、この地名のオンパレードがとても気になるんです。
本所、浅草はまぁ、いいとして。品川で海!
右の地理院地図上の真ん中にある丸が品川駅があるところですが、それは左図の真ん中と対応しています。左図の線がいっぱいあるのは海。明治に測量された地図のようで、品川に行けば海が見られたのです。そういえば昔の映画の幕末太陽傳でも似たようなことを、最初のナレーションで伝えていました。
と、ここで列挙されている場所は当時から有名な観光地であり、お参りするところであるわけです。ルートとしては、東海道を通って伊勢に行き、鈴鹿の峠を越え京都に入ると思われます。
旧道を通った旅に連れていろいろなものを見せたいという父親の姿に子どもに対する愛情を感じてしまう。そんな咄です。
さて、それを地図でどうやって追体験するか?
こちらはいかがでしょうか。
どのようなルートを通ったのかを書けば、どの旧国を通ったのか。など見ていくことができます。
現在の交通ルートとの変化なども比べてみれば、新しい発見があるかもしれません。
地図帳を見ながら、父親が言った場所以外の観光地や浮世絵などを見て、当時はどのような感じだったのかを知る。ということもできそうです。
当時、旅は基本的に歩きでした。どれだけの日数が必要なのかを計算してみるというのも面白いかも知れません。
そんなときに参考になりそうなのがこちら。
国土交通省横浜国道事務所のホームページです。
こちらによれば、1日30〜40キロの距離を10時間近くかけて歩いたそうです。東海道の終点京都の三条大橋までは約490キロ。2週間近くかかる計算ですね。とすると、往復でほぼ1カ月。その間、家賃とかどうなるのだろうといらぬ心配もしてしまいます。とりとめなく、止まらなくなってきて、いつものようにオチはつけられず。。今日はこれにて。
では、また。